2012年 02月 19日
読書ノオト:『日経平均を捨て、この日本株を買いなさい。』
献本御礼。が、困っているのである。この平易な、本当に平易なこの本がどうも読み進まず苦労した。当然この書評も、非常に苦しい思いで、絞り出すように書いている。
twitter を始めて以来、藤野さんとは近しく言葉を交わして頂くようになったが、正直なところ、いまだに僕は藤野さんが怖くて仕方がない。うっかり下手なことをいうとその場で射殺されそうな気持ちで、いつもガチガチに緊張して接している。何がそんなに苦しいのかと考えるに、どうも僕は、この本の倫理的な耳あたりの良さと、辣腕ファンドマネージャーである藤野さん個人のイメージのギャップを消化できていないあたりにその原因がありそうだ。
そこいらを強調してこの本の読後感を例えるなら、まるで巨大キャバクラグループの帝王が、社会起業セミナーかなんかで、無垢な学生相手にキャバクラ事業のセフティネット性か何かについて一席ぶっているところに偶々居合わせたバイト黒服の気分とでも言おうか。我ながらひどい例えだ。
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僕の理解では、この本の基本ロジックは、概略下の通り。
今や誰もがインデックス投信であり、市場のゆがみが高まっている
しかしそのインデックスの中身は、特に日経平均構成上位の大企業は腐っている
世のアクティブ投信のほとんどは似非アクティブである
似非でない、厳選された本当のアクティブ投信は、これらすべてに対しての逆張りである
このロジックをイントロに、あるいはリフレインに*、「ロック」な会社がキーワード、大災害は起業家精神に火をつけ、そして成長企業が数多く生まれる、など、今藤野さんの頭にあるアイディアが惜しみなく展開される。わかりやすさと具体性を優先して書かれているため、うっかり読むと賞味期限が短そう、また経験ある個人の短期トレーダーだと「何を寝言いってんだ」と放り出してしまいそうだが、やはり鬼の角は隠しきれないもので、随所に藤野さんの恐ろしさが垣間見える。
とりわけ僕が震えたのは、「応援する気持ちで投資する」のくだりだ。凡百の投資家なら、やれ株式投資はパーシャルオーナーシップだ、やれ「かぶをかうときはおうえんするきもちでかうんですう、がんばろおにっぽん」的なキレイゴトで終わるが、そうでない。本書で藤野さんは、「応援する気持ちで投資することにより、売買のタイミングが合うのです」というのだ。買いだけでない、売りのタイミングも合うとおっしゃる。つまり企業を応援する自分の気持ちの拡縮が、株価の天底と一致しているという衝撃的なお話である。これは藤野さんの経験とセンスを凝縮したらこういう言葉になったというところで、正直そんな能力が誰でも身についてたまるかと思うが、ここは全てのファンダメンタルズ派が何度も反芻する価値があろう。
どうも「日経平均を捨てて」というタイトルが刺激的なために、ややもするとインデックス投信批判の書と誤解されそうだが、それも異なる。ましてやパッシブとアクティブのどっちがいいんですか的なよくある garbage in - garbage out の議論にも本書は与らない。本書は、藤野さんが心血を注ぐひふみ投信をはじめとしたアクティブ投信のプロモーションである一方、日経平均構成上位企業から強く漂う腐臭への警鐘、中身を検討することなく、バスケットでそれらを買って満足する思考停止への一種生理的な嫌悪感も感じられる。その意味で、強く「現在」を意識して書かれたアジテーションでもある。
ポイントは、ここ数年でインデックス投信・パッシブ運用*が隆盛し、銘柄間の相関性はこれまでになく高まってしまったという事実と、誰もかれもが同じ投資方法に群がれば当然歪みが発生し、そして反動が起きるという原理原則。ことは相場の話なので、問題は常に「何が起きるか」ではなく「いつ起きるか」なのだが。。。
2012年2月17日、東証二部指数は長い停滞を抜けて、1989年の記録を抜き歴代2位となる24連騰を記録。日経平均は10,000円を窺う勢いだ。年初来、各種ヘッジファンドのパフォーマンスも良化している。このタイミングでこの本を出版してくるどんぴしゃさ加減に、僕は相場師藤野英人の真骨頂を感じざるを得ない。ご本人はたまたまだよ、と笑うのだろうが、僕はそれを信じない。本書の企画・執筆・出版のタイミングと、相場のタイミングが合ってきているのだ。こんな恐ろしい話が他にあろうか。
*2/20 23:45 追記
# by zoomchaka | 2012-02-19 11:04 | 雑感 | Comments(1)
どうも「わかりづらい」とたいへん不評のぱりてきさすブログ、景気が悪くなると株が上がってしまう話である。さもありなん。もともと分かりにくいことを言っている。結論が一足飛びに出ているので、僕自身の理解の整理をかねて、そこに至るまでの彼奴の思考について補足を試みたい。














