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読書ノオト:『日経平均を捨て、この日本株を買いなさい。』

日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。 22年勝ち残るNo.1ファンドマネジャーの超投資法

藤野 英人 / ダイヤモンド社



献本御礼。が、困っているのである。この平易な、本当に平易なこの本がどうも読み進まず苦労した。当然この書評も、非常に苦しい思いで、絞り出すように書いている。

twitter を始めて以来、藤野さんとは近しく言葉を交わして頂くようになったが、正直なところ、いまだに僕は藤野さんが怖くて仕方がない。うっかり下手なことをいうとその場で射殺されそうな気持ちで、いつもガチガチに緊張して接している。何がそんなに苦しいのかと考えるに、どうも僕は、この本の倫理的な耳あたりの良さと、辣腕ファンドマネージャーである藤野さん個人のイメージのギャップを消化できていないあたりにその原因がありそうだ。

そこいらを強調してこの本の読後感を例えるなら、まるで巨大キャバクラグループの帝王が、社会起業セミナーかなんかで、無垢な学生相手にキャバクラ事業のセフティネット性か何かについて一席ぶっているところに偶々居合わせたバイト黒服の気分とでも言おうか。我ながらひどい例えだ。

***

僕の理解では、この本の基本ロジックは、概略下の通り。
今や誰もがインデックス投信であり、市場のゆがみが高まっている
しかしそのインデックスの中身は、特に日経平均構成上位の大企業は腐っている
世のアクティブ投信のほとんどは似非アクティブである
似非でない、厳選された本当のアクティブ投信は、これらすべてに対しての逆張りである

このロジックをイントロに、あるいはリフレインに*、「ロック」な会社がキーワード、大災害は起業家精神に火をつけ、そして成長企業が数多く生まれる、など、今藤野さんの頭にあるアイディアが惜しみなく展開される。わかりやすさと具体性を優先して書かれているため、うっかり読むと賞味期限が短そう、また経験ある個人の短期トレーダーだと「何を寝言いってんだ」と放り出してしまいそうだが、やはり鬼の角は隠しきれないもので、随所に藤野さんの恐ろしさが垣間見える。

とりわけ僕が震えたのは、「応援する気持ちで投資する」のくだりだ。凡百の投資家なら、やれ株式投資はパーシャルオーナーシップだ、やれ「かぶをかうときはおうえんするきもちでかうんですう、がんばろおにっぽん」的なキレイゴトで終わるが、そうでない。本書で藤野さんは、「応援する気持ちで投資することにより、売買のタイミングが合うのです」というのだ。買いだけでない、売りのタイミングも合うとおっしゃる。つまり企業を応援する自分の気持ちの拡縮が、株価の天底と一致しているという衝撃的なお話である。これは藤野さんの経験とセンスを凝縮したらこういう言葉になったというところで、正直そんな能力が誰でも身についてたまるかと思うが、ここは全てのファンダメンタルズ派が何度も反芻する価値があろう。

どうも「日経平均を捨てて」というタイトルが刺激的なために、ややもするとインデックス投信批判の書と誤解されそうだが、それも異なる。ましてやパッシブとアクティブのどっちがいいんですか的なよくある garbage in - garbage out の議論にも本書は与らない。本書は、藤野さんが心血を注ぐひふみ投信をはじめとしたアクティブ投信のプロモーションである一方、日経平均構成上位企業から強く漂う腐臭への警鐘、中身を検討することなく、バスケットでそれらを買って満足する思考停止への一種生理的な嫌悪感も感じられる。その意味で、強く「現在」を意識して書かれたアジテーションでもある。

ポイントは、ここ数年でインデックス投信・パッシブ運用*が隆盛し、銘柄間の相関性はこれまでになく高まってしまったという事実と、誰もかれもが同じ投資方法に群がれば当然歪みが発生し、そして反動が起きるという原理原則。ことは相場の話なので、問題は常に「何が起きるか」ではなく「いつ起きるか」なのだが。。。

2012年2月17日、東証二部指数は長い停滞を抜けて、1989年の記録を抜き歴代2位となる24連騰を記録。日経平均は10,000円を窺う勢いだ。年初来、各種ヘッジファンドのパフォーマンスも良化している。このタイミングでこの本を出版してくるどんぴしゃさ加減に、僕は相場師藤野英人の真骨頂を感じざるを得ない。ご本人はたまたまだよ、と笑うのだろうが、僕はそれを信じない。本書の企画・執筆・出版のタイミングと、相場のタイミングが合ってきているのだ。こんな恐ろしい話が他にあろうか。

*2/20 23:45 追記

# by zoomchaka | 2012-02-19 11:04 | 雑感 | Comments(1)

対人ゲームとしての相場、或いはぱりてきさす氏の手法と人でなしたる所以について

「景気が悪くなると株が上がる話」 - ぱりてきさすのデイトレード日記
http://paris-texas.seesaa.net/article/226631700.html

どうも「わかりづらい」とたいへん不評のぱりてきさすブログ、景気が悪くなると株が上がってしまう話である。さもありなん。もともと分かりにくいことを言っている。結論が一足飛びに出ているので、僕自身の理解の整理をかねて、そこに至るまでの彼奴の思考について補足を試みたい。

「相場勘」と「相場観」という言葉がある。意識して使い分けている人をあまり見ないが、これはまったく異なるものだ。漢和辞典など引いてもらいたい。前者は単なる予想に毛が生えた程度のもの。一方後者は少しくメタな話であり、「世界観」「歴史観」と同じように、「相場をどのような場として捉えているか」である。「相場観」についての分類の軸はかなり多くあり(ぱりてきさす氏は同エントリの中で「学派」と呼んでいる)、それらについて語るのは本稿の目的ではないため割愛するが、ここで論じたい軸は、「相場を対人ゲームとして捉えているか否か」である。

まず、相場を対人ゲームとして(徹底して)捉えない場合、プレイヤーが見るべきものは企業業績であり、各国の経済指標であり、或いは何かのテクニカル指標であったり、いわゆるバリュー投資や一部システムトレード等の姿に帰結してくる。そこに他の市場参加者に対する注意はあまりない。

次に、相場を対人ゲームとして(徹底して)捉える場合、プレイヤーは他の市場参加者からどのように金を奪うかを考える。企業業績も経済指標もテクニカル指標も見るだろうが、それそのものではなく、それによって生ずる他の市場参加者のセンチメントに注意を払う。お気づきであろうが、ぱりてきさす氏はこれの極端に立っている。

これは単なる分類であるので、彼奴の凄みを理解するには、今少し言葉を足す必要がある。先週金曜の Skype ミーティングにおける彼奴の発言は、こうであった。

「今もうみんな売り目線で暴落くるくるぅー言うて株売り切ってキャッシュじゃぶじゃぶやないですかあ。そんなんね、ここで暴落なんか来たらド下手くそが揃いも揃ってみんな底値で株買うてはっぴはっぴーやないですか。そんなことが起きるわけないです

僕自身も、ヴェリタスのブルベアや NAAIM SentimentMarket Harmonics などの各種センチメント指標を天底の目安にしているが、あくまでも目安程度であり、市場一般の見方から材料織込の温度感を計ろうとしているに過ぎない。敬意を払い、ときに順目で臨むこともあろう。

ところが、同氏はおそらくこういった市場一般のセンチメントはあまり見ていないと思われる。彼奴がやっているのはもっと生々しい、いわば自分の獲物の観察だ。彼奴の思考のパターンは、相場が上がるとか下がるとかの予想(相場勘)ではなく、自分の獲物と見定めた市場参加者を捕食するためにはどうすれば最も効率的か、というものである。


冒頭リンクにあるぱりてきさすブログエントリから、彼奴の思考におけるプレイヤー分布を上に推定・図示した。彼奴は明らかに「市場には、必ず金を強者にばら撒くヘボが一定量存在する」、という前提を持っており、一説には、日々500を超える投資系ブログを観察しているともいわれる。たまには白々しいコメントなどもしているのだろう。僕が彼奴を人でなしと呼ぶ所以だ。

**** Disclaimer!!! ****
各所からいろいろご指摘を頂戴しました。たいへん困ったことにどうもそういうことらしいのです。あのなおめーら、これベタボメやっちゅーねん!どんな読解力してんねん!あんたは雰囲気凄味だけ醸してるとかそんなんじゃなくて僕はちゃんと凄味を感じているんだよと、それはこれこれこうなんだよと、そういう話なんですよこれは!もーやだー

# by zoomchaka | 2011-09-20 00:55 | 相場観・指針 | Comments(6)

すぱすぱ話を進めることに拘ると、どうも粘りがなくなっていけないですね

ロジカルであらんとすると、つうかプロマネなんぞやってると、メンバーに積み上げたロジックを共有させる以外に、チームの現状認識を統一する方法を知らんので、イロジカルな議論の蒸し返しとか、過去に検討した結果捨てたオプションを、特に成功する理由もなくもう一回やってみようぜてな提案に対してもう体が拒否反応示しますわな。ふざけんなてめえ、それは無理だって何回確認したよ?それがいけるんやったら今週こんな苦労しとらんわボケナス、みたいなね。

プロマネはメンバーの誰よりもスケジュールに敏感だから、誰よりもロジックを迅速に積み上げることを好む。一つのオプションをこねくり回していつまでもあーだこーだ言うのが大嫌いで、結論を急ぐ。

そんなこんなで、妙に諦めが早くなってしまうきらいがあるなと思った。

かつて捨てたオプション、実現すればそれはベストなんだが、これこれこうで取引相手の許容上限を明らかに超えるからダメ、つう理由だった。そこの社長に聞いても「そりゃ無理だよ」ということだった。それが2ヶ月前の話。

で、今日になってそれをもう一回検討したいというヤツが出てきて、アホかと罵ったが、そいつが会長さんとこに飛び込んでテーブルに頭ぶつけまくって頼んだら、何とかなってしまった。本当の許容上限はもう少し上で、かつそれが明らかにされていなかったのだ。別の言い方をすると頭の下げ方が足りんかったのだ。

僕ら商売人は何のかんの言って人にお願いしてまわって全体をまとめるのんが仕事。それなくして優位性はない。だってほかのことは全部劣ってるんだもん。交渉の粘り腰、やっぱ大事です。

# by zoomchaka | 2011-07-23 02:39 | 雑感 | Comments(5)

堀江貴文実刑、オノレの奴隷根性を知る

堀江貴文実刑判決。

思うところはいろいろあるのだ。彼に触発を受けた人はとっても多いはずで、その受け方は、ストレートに起業ということに限らず、僕のように大きな組織をいかに利用するかということに傾注することに決めるなんてちょっとひねこびた触発のされ方もあったと思う。

ライブドア経営者としての堀江貴文氏の物語は、僕の中で新興市場の隆盛と崩壊の象徴であり、日経Jasdaq平均が大底を打った2009年春頃に完結してしまっていて、東日本震災時に被災者から寄せられる情報を日夜 Retweet し続けたあの堀江貴文氏との間に、僕はあまり連続性を感じていない。後者があまりに印象的であったといっても、前者まで肯定しない。

あの事件は、自社株売却益の売上計上を犯罪というには違法性にが微妙であろうし、もっと不公正な話は相変わらず市場にゴロゴロしているし、日興コーディアル事件(「どーんととP/Lで」は名台詞)と比べても2年余の実刑判決はそれどうなの、という印象は受ける。

どうにもいろいろ整理がつけづらい人である。かれこれ5年ほど折々に考えているのだけれど・・・うーん僕もロケット好きだし。ただ、感情的に好きか嫌いかと聞かれれば「ダイッキライ」と答える。

なぜ嫌いか、自問してみる。

たぶん、こういうことに乗じて、またぞろパターナリズムとオーバーコンプライアンスが幅を利かせ始めるだろうと思っているからである。有態に言って、迷惑だと感じているのである。今日の会見でも『コンプライアンス強化の波とセットで企業の経済活動が停滞化している』との発言があったようだが、それにアブラを注いでるのはあんたじゃねーかと感じているわけだ。黙ってりゃそこそこで済むのに、あんたが余計なことをするから、「何もしていない(ここ多面的な意味を持たせてます)」俺たちがいつまでも迷惑を受ける。僕はそう思っているのである。

ああ、俺も奴隷根性がしみついたなあ。巨大な敵と戦って傷ついたヒーローに後ろから石を投げるタイプといえよう。こういうのを、最近はソウルジェムが汚れたとでも言うのだろう。

# by zoomchaka | 2011-04-27 01:14 | 時事 | Comments(4)

夏のご予定は?

震災復興に向けた緊急対策の推進について~第1回提言 2011年夏の電力供給不足への対応のあり方~(野村総研)
http://www.nri.co.jp/news/2011/110330_1.html

「無計画停電」から「戦略的エネルギーシフト」へ(ISEP 環境エネルギー政策研究所)
http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110404.pdf

色んな人が知恵を絞っておられますが、供給側はほぼ見通しが立ってきた(物理的にという意味じゃありません、想定シナリオがある程度揃ってきたという意味)一方、需要側において何ができるのかが分からない中で百家争鳴するためなかなか議論が前に進まない今年の夏ですが。今日は時間的にアレなので、午前中に読んだレポートのご紹介まで。僕の見解なんか並べても仕方ないんですが、野村総研の方は必読と思います。特に下の表だけでも(クリックでポップアップ拡大)。


# by zoomchaka | 2011-04-05 01:11 | 時事 | Comments(2)

2011年3月度投資成績(OPのみ)

3月度、+138.40%(手数料込み、税前)にて着地しました。ほとんどはあの金・月・火の93日間で市場にかじりついて稼ぎ出したもの。イントラデイでカイだヤリだと騒ぎまわるなんて何年ぶりだか、恐ろしいほどに凝縮された時間でした。月後半は、ひまわり証券の証券業撤退をはじめ、先物・OP取り扱い各社の激しい建玉制限に追われて証券会社難民と化したため、このボラドロップはあまり収益化できていません。月末近くになってようやく体制が整いましたが、建玉制限とプライススキャンレンジの上昇下、あまりできることがありませんでしたが、ここまでのNK225の上昇は予想と逆行でしたので、むしろ収支にはプラスで働いたかもしれません。

# by zoomchaka | 2011-04-03 23:43 | 投資成績 | Comments(4)

業界別災害支援金額からほの見えるもの

えー、まずこれはこの1時間でがつがつっと作ったものですので、間違いがありました際には平にご容赦を願います。特に「確認できず」はゼロではなく、3月21日(月) 23:00現在で僕が調べて引っかからなかったもの、という意味ですのでこの点は重々ご承知おきを。

もう一つ、これは金額の多寡を問うているのではなく、また少ない企業を馬鹿にする意図は一切ありませんし、そういう目的でご覧になるのは何卒ご遠慮願います。ここは投資ブログですから、あくまでも業界内の力関係や雰囲気を考察する一助として作成した資料です。が、とはいえ、「確認できず」のうち、僕が知る限り、明らかな被災企業は故意に外してあります。

尚、実は思いのほか作っていて楽しかったです。いくつかのパターンがありますね。結構業界の収益性やら何やらと相関がありそうな気がして何ともかんとも。

(1)あからさまに横並び調整をしている業界
(2)まったくもってバラバラの業界
(3)中で序列ダンゴができている業界
(4)2位グループがある程度調整した後でチャンピオンが鉄槌を振り下ろす業界
(5)調整こそしていないが、互いに横目で気にしながらやっている業界



# by zoomchaka | 2011-03-21 23:43 | 特定業種比較・資料等 | Comments(6)

311以後の想定電源構成とEV(電気自動車)のCO2排出量評価

日本の原子力発電が全部止まったら、電気自動車がガソリン車よりCO2排出量が多くなるというような話をツイッターで見かけた(ような気がした、気のせいかもしれない)ので簡単に検証してみました。

311以後の想定電源構成は、シナリオ-Aとして、福島第1、福島第2、女川、東通の現在停止中の4発電所は(おそらく政治的に)再稼動できないというもの。これがメインシナリオです。シナリオ-Bとして、日本の原発全てが停止されるというもの。やや非現実的ですか。これを前提に、停止されると想定した原子力発電分を火力(石油・石炭・LNG)及びその他へ現行比率プロラタ配分して、電力kWh当たりのCO2排出量を求めました。


(画像クリックで大きく開きます)

2009年度の発電実績から求めると0.479kg-CO2/kWhですが、現在の地球温暖化対策推進法に基づく排出係数は0.555kg-CO2/kWhですので、どちらを「現状」と見るかは難しいところがありますが、とにもかくにも上表の通りです。大よそ10~20%程度上昇するものと考えて差し支えないところかと思います。

これを元に、311以前/以後の国産EVの電費を充電効率80%前提で計算(公表航続距離/電池容量を0.8で除す)し、Wikipedia記載の国産主要車種の燃費を2.360kg-CO2/ガソリンLで換算した値と比較すると下表のようになります。正直なところそれほど大きな変化があるようには見えません。


(画像クリックで大きく開きます)

(シボレー・ボルトやテスラやBYDも比較してみたかったのですが、日本基準での電費若しくは航続距離のデータが得られなかったので断念しました。アメリカのEPA基準なら全て比較できたのかもしれませんが、めんどくさくなったのでヤメ)

ただし、だからといってEVが引き続き売れ続けるかどうかという判断にはあまり役に立たないと考えています。なぜなら、EVの商品性は、実際に環境性能がどうなのかではなく、環境ブームの気分と燃料価格の影響が非常に大きなウェイトを占めていますし、日本には電力がふんだんにあって、(特に夜間は)いくらでも使えるということがそもそも大前提にあるからです。311はこの大前提を大きく崩しました。回復には少なくとも数年を要するでしょう。

当面の大きなテーマは、グリーンハウスガス云々でなく、「脱原子力」であり、「省電力」になると考えられます。この分野については既に議論も対象も絞られている(リニューアブルエナジー、スマートグリッド、LEDなどなど)と言って差し支えないものと思います。その他、一般炭やCCS(カーボン・キャプチャー・ストレージ)、CCT(クリーン・コール・テクノロジー)などが注目されると考えられますが、国内での投資候補先は限定的でしょう。

尚、僕自身はこの分野のプロフェッショナルではありませんので、この点はご留意下さい。いろいろロジックの穴もあると思いますのでご指摘大歓迎です。

# by zoomchaka | 2011-03-21 13:50 | 特定業種比較・資料等 | Comments(0)

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